相続における配偶者控除とは?メリット・デメリットを確認
相続税にはさまざまな控除制度がありますが、その中でも特に効果が大きいのが「配偶者控除」です。
うまく活用すれば相続税の大幅な節税が可能になる一方で、使い方によっては将来の税負担が大きくなるケースもあります。
本記事では、配偶者控除の仕組みとそのメリット・デメリットを確認していきます。
制度の概要
配偶者控除とは、被相続人(亡くなった方)の配偶者が遺産を受け取る際に、一定額まで相続税が課されない制度です。
非課税となる金額は「1億6,000万円」または「法定相続分に相当する金額」のいずれか大きい方です。
ここでいう法定相続分とは、民法で定められた相続人の分割割合で、家族構成によって変わります。
配偶者控除の適用条件
配偶者控除を受けるためには、以下の条件を満たす必要があります。
・相続人が法的な配偶者であること
・遺産の分割内容が確定していること
・期限内に相続税の申告をしていること
なお、相続税の申告期限は、被相続人が亡くなった日の翌日から10ヵ月以内です。
配偶者控除のメリット
最大のメリットは、1億6,000万円または法定相続分までの遺産について相続税がかからない点です。
これにより、配偶者が多くの遺産を受け取る場合でも、納税額をゼロ、または大幅に軽減できます。
たとえば、遺産総額が2億円で、相続人が配偶者と子ども1人というケースでは、法定相続分は1/2の1億円となります。
配偶者が1億円を相続した場合、配偶者控除の非課税限度額1.6億円の範囲内であるため、相続税はかかりません。
配偶者控除のデメリット
一方で、デメリットとして挙げられるのが、「二次相続」における税負担の増加の可能性です。
一次相続(配偶者が遺産を受け取るとき)で相続税を大幅に抑えられたとしても、その配偶者が亡くなったとき(二次相続)には、子どもなどが多くの財産を受け継ぐことになります。
この際は配偶者控除が使えないため、結果として子どもの相続税の負担が大きくなる可能性があります。
そのため、最初の相続時から、将来の二次相続を見据えた遺産分割を考えることが大切です。
まとめ
配偶者控除は、相続税対策として非常に有効な制度であり、特に一次相続時に大きな節税効果を発揮します。
しかし、将来的な二次相続の税負担まで視野に入れないと、トータルの税負担が大きくなる可能性があります。
相続についてご不安な点があれば、お気軽に当事務所までご相談ください。